日本は未曾有の働き手不足に見舞われている。今後さらに深刻化する事は明らかになっている。その主な原因は結婚する男女の割合が減った、人生観やライフスタイルの多様化、女性の自由度の拡大、女性の雇用機会の増大がある。女性のライフスタイルなどにおける自由度の増大には女性の人権や自由を拡大すべきであるとする社会運動や思想家による啓蒙が大きく影響してきたと考えられる。古くは第二次世界大戦後の、戦争は男性中心の社会がもたらした災害と言う視点が存在し、女性が積極的に男性に対して発言すべきであると言う考え方が台頭してきた。例えばフランスの哲学者ボーヴォワールやシモーヌ・ヴェイユなどの哲学者・思想家・作家などの影響が大きい。その後アメリカではウーマンリブ、これは女性の自由と言う意味であるが、そういった社会運動が起こり、女性の社会進出を促し、また女性は結婚して家庭に入るべきだと言う旧来の考え方を相対化することによって、女性の選択肢は個人レベルでも社会レベルでも拡大した。ウーマンリブと言う言葉は既に死語になっているほど女性の自由が確立されている。特にアメリカや欧米西側先進国ではその傾向が強い。また産業の発展が労働力を必要とし、人口の半数を占める女性はその大きな供給源となったことがあった。産業革命期の時代においても工場労働者として女性が活用されていたが、ここ半世紀における女性の進出が企業の管理職からさらには役員や行政にまで及び及んでいる。日本はまだ欧米に比べると女性の進出が大幅に遅れている。しかし女性が職場に進出すると必然的に結婚する女性の数が減り少子化を招くと言う。少子化を招くとますます労働力が不足してその不足を補うために女性は就業する必要が生じ、悪循環に陥る。結婚、子育てと女性の就業を両立させるために法制が整備されたし、また最近男性も子育てを分担すべきであると言うイクメンなどの言葉を生んだ考え方も各企業で取り入れられ、また法制化もされている。労働力不足に関しては外国人労働者のビザ発給要件の大幅な緩和が2019年4月より始まったが、日本の生産人口はおそらく数百万人単位で不足すると思われ、日本の生産人口の不足を補うには到底足りないと予測される。各企業は人を確保することが緊急かつ重要な経営課題となっており、とりわけ中小企業では人手不足は深刻である。外国人労働者を雇用するには言語の問題、生活習慣の違い、育った文化の違いなどカルチャーギャップが存在する。また労働に対する考え方も異なる場合も多い。雇用する側は契約と言う考え方を従来以上に明確に持つ必要があり、会社と労働者が契約関係にあると言うことを認識する必要がある。主要な雇用契約として就業規則が存在する。小規模な事業所では義務付けられていないが、外国人を雇用した場合には個別に雇用契約を締結するかもしくは就業規則を採択してその内容を適切なものにしておく必要がある。