2019.12.4 未分類
【人身傷害保険のあまり知られてない実務に活用できる約款】
被害者が相談に来て,加害者には任意保険がないので困っているとの相談があった場合。
被害者が人身傷害保険に加入していれば加害者を相手に損害賠償訴訟をして、判決または裁判上の和解が成立すればそれをもって人身傷害保険の契約会社に保険金支払いの請求をすれば,人身傷害保険の損害額基準に拘わらず判決額または和解額が支払われます。
この人身傷害保険の約款は実務でも使えると判断します。
下記に約款適用の具体例を紹介します。
(具体的事例で説明します)
Aさんは交差点を青信号で直進中,信号無視の自動車に衝突されて,右足の脛骨を骨折し入院しましたが,加害者Bさんは任意保険に加入していませんでした。
Aさんは任意保険に加入していて,人身傷害保険も5,000万円加入していました。
そのため,AさんはAさんが加入するT保険会社から人身傷害保険を使って治療費・休業損害・慰謝料・後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益として2,000万円を払ってもらいました。
しかし,人身傷害で受け取った保険金だけでは納得が行きませんでした。
そこで,加害者のBさんに対して損害賠償請求の訴訟をしましたが,Bさんはお金がないと言って賠償する気持ちがありませんでした。
最終的に裁判で判決になりました。
判決の額は損害賠償総額3,000万円から既に支払われている人身傷害保険2,000万円を引いた1,000万円をBさんがAさんに支払えとの内容でした。
AさんはBさんに請求しましたがBさんはお金がないと言って払う気持ちがありませんでした。
Aさんの加入している人身傷害保険の約款【お支払いする保険金】
「第4条(お支払いする保険金)」
(4)下表のいずれかに該当するものがある場合において,その合計額が保険金請求権者の自己負担額を超過するときは,当会社は,(1)の規定によって決定される額からその超過額を差し引いて保険金を支払います。なお,賠償義務者があり,かつ,判決または裁判上の和解に於いて,賠償義務者が負担すべき損害賠償額がこの人身傷害条項の別紙と異なる基準により算定された場合にあつて,その基準が社会通念上妥当であると認められるときは,自己負担額の算定にあたっては,その基準により算定された額を(2)の規定により決定された損害額と見なします。
上記約款を適用して,判決が認めた損害賠償額3,000万円から人身傷害し既払い額2,000万円を差し引いた1,000万円が人身傷害保険から支払われました。
以上