事例
相談前
私(夫)は82歳で妻は75歳で長年にわたって生活してきたが,2~3年前から妻が何かにつけて口うるさく言うので夫が嫌気を起こし「何かに付けて文句ばかりを言う妻には我慢できない」と言って夫は家を出てアパとで1人生活をしています。
夫の言うには,妻は離婚してもよいが,夫名義の家を出て行くのは絶対嫌で,死ぬまで自宅に住んでよいなら離婚すると言い張っています。
夫はどうしても離婚したいと考えて相談に来られました。
相談後
夫と妻は長年夫婦として暮らしていますので,夫名義の家は,夫婦共有財産であると考えられます。
家が唯一の夫婦の共有財産である場合,離婚に際しては,財産分与として2分の1ずつ分けることになります。そうなると妻は夫の持分を買い取る必要がありますが,その資金がない場合は,家を売って分けなければならなくなります。
しかし,家を売ることは自宅に住みたいと言っている妻は受け入れないと判断されます。
また,夫の持分を買い取る資金は妻にありません。
夫がどうしても離婚したいならば,夫に今後生活していく経済力がある場合に限りますが,家の名義を妻に変更して妻が済み続ける方法があります。
その場合に,無償の使用貸借とするか,賃貸借にするかは,当事者の資力によって考える必要があります。
弁護士からのコメント
本件の場合に,妻が終生居住するとなると,平均余命は女性75歳の場合に15年あります。長年の間に妻以外の者が住む可能性もありますので,その点を十分検討する必要があります。