弁護士法人はるか|栃木宇都宮法律事務所

相続・遺産分割に関する事例紹介

相続・遺産分割に関する事例紹介

相談内容

実父Aが死亡(平成28年死亡)した後,継母(実父の後妻)Bが死亡(令和2年死亡)しましたが,Bには子がなく,私は父の先妻の子Hで,継母と養子縁組しています。

なお,実母は父と離婚して生死不明です。

継母には兄弟姉妹が3人いますが,長兄Fと二兄Gそして二女CですがCは令和3年に死亡しました,Cには配偶者Dと子Eがいます。

相談に来られたH氏から遺産分割が複雑なので交渉の委任をされました。

相続人は,H,F,G,D,Eの5人となると思われましたが、相続人は私Hだけです。


 【交渉結果】

依頼者Hの委任を受けて家庭裁判所に遺産分割の申立てをしました。  

被相続人Bの遺産は,土地が2200万円,建物300万円,銀行預金2600万円の合計5100万円の評価額で合意しました。  

遺言がないので法定相続分で相続することになります。  

申立人のHは被相続人と養子縁組をしていることから,1/2となります。  

長兄Fは,1/2×1/3=1/6となります。  

二兄Gは,1/2×1/3=1/6となります。  

二女Cの配偶者Dは,1/2×1/3×1/2=1/12となります。  

二女Cの子Eは,1/2×1/3×1/2=1/12となります。  

調停において下記の通り遺産分割が決まりました。  

申立人Hは,土地・建物,銀行預金の全ての財産を単独取得するが,代償として,Fに850万円を支払い,Gに850万円を支払い,Dに425万円を支払い,Eに425万円支払うことで調停が成立しました。とありますが根本的に相続人は私Hだけなので,交渉結果の調停成立の内容も誤っています。

 

 【弁護士からのコメント】

申立人Hが被相続人の継母Bと養子縁組をしていなければ,Hには継母Bの相続権はありません。 もともと、F, G, D, Eは相続分はなく、Hの単独相続であったのです。民法900条3号は,配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは,配偶者の相続分は4分の3とし,兄弟姉妹の相続分は4分の1とすると規定している。

しかし,本件で,継母B(実父Aの後妻)が令和2年に死亡した時点でAの後妻である継母Bの配偶者Aは平成28年に死亡しているので,民法900条3号に該当せずB(単独)相続人はBと養子縁組していたAだけである。従って,裁判所で成立した調停は誤りです。もっとも民法919条1項は,相続の承認及び放棄は,第915条1項の期間内でも撤回することができないと規定している。

しかし,同条2項で前項9規定の第1編総則及び前編の規定により相続の承認及び放棄の取消をすることを妨げない同条3項の前項の取消権は追認をすることができる時から6か月間行使しないとき事項によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から10年経過したときも同様とする4項は第2項の規定により限定承認又は放棄の取消をしようとする者はその旨を家庭裁判所に申述しなければならないと規定している。

本家では相続放棄に関する調停の取消ではなく錯誤による無効であるから錯誤による無効を主張して家庭裁判所に申述の申立ができることになります。