2020.10.27 その他
合同会社と株式会社の違いとは?どちらを選択すべき?
新しく事業を始めたり、個人事業主の方が事業を法人化したりする際には、合同会社と株式会社のどちらを選択するか迷うところでしょう。
今回は、合同会社と株式会社の違いと、状況に応じてどちらを選択すべきかについて解説します。
1. 合同会社と株式会社の違い
まずは合同会社と株式会社の主な違いについて解説します。
-
1-1. 出資者と経営者の関係|合同会社は同じ、株式会社は別
合同会社の場合、出資をした人は会社の持分を有する「社員」として、自ら会社の経営を行います。
つまり、合同会社では出資者と経営者が同じです。
-
一方株式会社の場合、出資者は会社の株式を有する「株主」ですが、会社の経営を行うのは、株主総会で選任された「取締役」です。
したがって、株式会社では出資者と経営者が異なります。
ただし株式会社の場合でも、株主が1人または家族だけというようなケースでは、結局オーナー株主を取締役に選任することが多いので、実質的には合同会社とあまり変わりません。
-
1-2. 会社の機関設計|株式会社には細かいルールあり
株式会社の場合、株主総会・取締役(会)・監査役(会)などの機関が用意され、それぞれについて詳細なルールが会社法で定められています。
これに対して合同会社の場合、出資者である社員が業務執行を行うというシンプルな考え方だけでよく、細かい機関設計は不要です。
なお、株主が1人または家族だけというような株式会社では、機関といっても株主総会と取締役だけというケースがほとんどですので、合同会社と比べても特別複雑というわけではありません。
-
1-3. 設立コスト・ランニングコスト|合同会社の方が安い
会社設立のコストは、合同会社と株式会社で若干異なります。
それぞれの設立コストは以下のとおりです(弁護士などに設立手続きを依頼する場合、別途依頼費用がかかります)。
合同会社
株式会社
収入印紙代
4万円(電子定款の場合は不要)
4万円(電子定款の場合は不要)
定款認証手数料
なし
5万円
定款謄本手数料
なし
2,000円
登録免許税
6万円
15万円
合計
10万円(電子定款の場合は6万円)
24万2,000円(電子定款の場合は20万2,000円)
このように、合同会社は株式会社と比較して安いコストで設立できるメリットがあります。
また、株式会社には年1回の決算公告の義務が課されており(会社法440条1項)、官報掲載費が1回あたり6万円必要です。
合同会社の場合は、決算公告の義務がないため、官報掲載費を節約できる点もメリットといえるでしょう。
-
1-4. 会社としての信用力|株式会社の方が信用あり
-
世間的なイメージの問題に過ぎませんが、株式会社の方が合同会社よりもなじみ深いということもあってか、「ちゃんとした会社」という印象を持たれやすいようです。実際には、特に個人経営の同族会社であれば両者にほとんど差はないのですが、実態として株式会社の方が信用力で勝る傾向にあることは知っておくべきでしょう。
-
1-1. 出資者と経営者の関係|合同会社は同じ、株式会社は別
合同会社の場合、出資をした人は会社の持分を有する「社員」として、自ら会社の経営を行います。
つまり、合同会社では出資者と経営者が同じです。
-
一方株式会社の場合、出資者は会社の株式を有する「株主」ですが、会社の経営を行うのは、株主総会で選任された「取締役」です。
したがって、株式会社では出資者と経営者が異なります。
ただし株式会社の場合でも、株主が1人または家族だけというようなケースでは、結局オーナー株主を取締役に選任することが多いので、実質的には合同会社とあまり変わりません。
合同会社と株式会社、どちらを選択すべき?
これから会社を起こそうという方にとって、合同会社と株式会社のどちらを選択すべきかは悩ましい問題です。
実際のところ、個人で設立する会社であれば、どちらを選んだとしてもほとんど差はありません。
強いて言うならば、以下の点を考慮して合同会社と株式会社のどちらを選択するかを決めればよいかと思います。
2-1. 費用重視なら合同会社
合同会社は、設立コストやランニングコストの安さという点で魅力的です。
とりあえず会社としての体裁を整えたいという場合は、費用重視で合同会社を選択するのもよいでしょう。
2-2. 対外的な印象を重視するなら株式会社
株式会社のメリットは、合同会社に比べて会社としての信用力が一般的に高い点です。
そのため、会社が世間に与える第一印象という観点では、株式会社の方が合同会社よりも有利な傾向にあります。
さらに、合同会社の場合は「会社=経営者」と見られがちなのに対して、株式会社の場合は、会社と経営者がある程度切り離された存在として見られやすい特徴があります。
そのため、対外的な信用力が重要となるビジネスを取り扱う場合は、株式会社を選択したほうがよいかもしれません。
2-3. 途中で移行も可能
合同会社と株式会社は、会社法上の「組織変更」という手続きをとることによって、後から互いに移行することも可能です。
そのため、まずは費用重視で合同会社を立ち上げた後、ビジネスがうまくいって拡大したら株式会社に移行する、というような二段構えで考えてもOKです。
まとめ
合同会社と株式会社は、制度は違えども実際にはかなり似ていて、これから会社を立ち上げようとする方にとっては、どちらを選んでもそれほど差はありません。
ただし、費用面や信用力の面では若干差があるので、ご自身が会社を設立する目的に合わせて選択するとよいでしょう。
合同会社や株式会社の設立手続きについては、当弁護士法人でもサポート可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。