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民事再生手続の概要・流れ

1 民事再生手続とは

   民事再生手続とは,経済的に窮境にある会社について,裁判所の関与の下,事業を継続しながら,会社の事業の再建を図る法的手続です。この点,事業を清算するための手続である破産とは異なります。

 2 民事再生手続の流れ

  再生手続開始の申立て……(申立当日)

     ↓

  保全処分      ……(申立の翌日)

    裁判所が発令する「弁済禁止の保全処分」により,申立日以前の原因に基づいて支払うべき買掛金などを,弁済することが法的に禁止されています。

     ↓

  監督命令      ……(同日)

    裁判所が,会社の重要な財産上の行為等(財産の譲渡,譲受け,借財,手形の割引など)について監督を行う監督委員を選任する命令です。

    今後行う仕入や今後行う仕入の支払,給与の支払などの通常業務(これを「常務」といいます。)については通常どおり行うことができます。

     ↓

  再生手続開始決定   ……(申立日から数日~2週間程度)

    民事再生手続に従った手続を開始するのが相当と裁判所が判断した場合に,裁判所により再生手続開始決定がなされます。

     ↓

  再生債権届出期限   ……(申立日から6~8週間程度)

    裁判所から債権者に対して,再生債権届出書が送付され,債権者のほうで必要事項を記入の上,裁判所に送付する手続です(民事再生法94条)。

     ↓

  財産目録,貸借対照表,報告書提出期限(申立日から6~8週間程度)

    会社の一切の財産について,再生手続開始の時における価額を評定し,財産目録及び貸借対照表を作成し,裁判所に提出します(民事再生法124条1項・2項)。また,再生手続開始に至った事情など,法定の事項について調査した報告書を裁判所に提出します(民事再生法125条)。

     ↓

  認否書提出期限    ……(申立日から10~12週間程度)

    再生債権者からの債権届について,その内容及び議決権について,認めるか認めないかを記載した認否書を作成し,裁判所に提出します(民事再生法101条)。

     ↓

  再生債権の調査期間  ……(申立日から12~14週間程度)

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  再生計画案提出期限  ……(申立日から4~5ヵ月程度)

    事業計画や再生債権に対する弁済率,支払時期等について定めた再生計画案を作成し,裁判所に提出します(民事再生法163条)。再生計画案は,遂行の見込みが必要です(民事再生法169条1項3号・174条2項2号)。なお,提出期限は,延長される場合があります(民事再生法163条3項)。

     ↓

  再生計画案の付議決定 ……(申立日から5~6ヵ月程度)

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  再生計画案の決議   ……(申立日から6~7ヵ月程度)

    再生計画案について,再生債権者の賛否を決議するため,債権者集会が開催されます(書面等投票により行う場合などもあります(民事再生法169条2項))。再生計画案が可決されるには,以下のいずれの同意も満たすことが必要です(民事再生法172条の3)。

    ① 集会に出席又は書面投票した議決権者の過半数の同意

    ② 議決権者の議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意

    否決された場合には,再生手続廃止の決定がなされ,通常,破産手続へ移行することになります(民事再生法191条・250条)。

     ↓

  再生計画案の認可決定 ……(申立日から6~7ヵ月程度)

    再生計画案が可決された場合に,裁判所が再生計画認可の決定をします(民事再生法174条)。

     ↓

  再生計画案の認可決定確定…(申立日から7~8ヵ月程度)

     ↓

  再生計画の遂行    ……(計画の定めによる)

     ↓

  再生手続の終結    ……(認可決定確定後3年)

    再生計画が遂行されたとき,又は再生計画認可の決定が確定した後3年を経過したときです(民事再生法188条2項)。

 

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