もらうべき相続財産を確実に取得する
相続問題や遺言書の作成、相続税は、その道の専門家「弁護士」にお任せを!
相続には戦略や工夫が必要です。なぜならば、①自分がもらうべき相続分を確実にもらうこと②相続税を最少化すること、これらを実現するためには様々な工夫が必要で、また他の相続人との調整も必要となります。
なぜ相続で紛争が起こるのか?
遺言をめぐる対立・紛議
遺言書がある場合
自筆の遺言証書はもめやすい
自筆の遺言書がある場合、遺言書が有効かどうか、すなわち本人の筆跡かどうか要件を充足しているかどうか,で紛議が起こりえます。また遺言書上不利に扱われた相続人は、遺言書の効力に問題がないか検分し訴訟になることがあります。
公正証書遺言はもめにくい
公正証書遺言の場合は、紛争の余地はずいぶんと小さくなりますが、それでもゼロになるわけではありません。
何回か遺言が書かれた場合、後のものが優先
また自筆であれ、公正証書遺言であれ、いったん遺言書が書かれた後、それを知って、「自分が不利益に扱われた」と考えた他の相続人が、再度遺言書を書かせるよう被相続人に働きかけることがあり、遺言の取得合戦に発展します。なぜなら遺言は(前のものに抵触する範囲で)後に書かれたものが優先するからです。また、自筆証書遺言の場合、日付が書いてあっても、実際に書かれた日で先後が決まりますので、書かれた日が争いになりえます。
遺言書が無い場合
相続人はそれぞれ、相続財産について欲しい物があるのが普通です。亡くなった方の所有する家に住まわれていた方はその家(土地建物)を相続してそのまま居住することを希望するのが普通ですし、早急にお金が必要な人もおられます。遺産分割をする場合に一番もめるのは、①誰が何を貰うかと言うことで意見の対立が生ずる場合、②生前贈与(特別受益)を受けているがその金額や証拠などについてもめる場合、➂相続財産の維持・拡張(寄与分、これには被相続人を介護するなどした場合も含まれます。)をどのように評価するか、④不動産等現物財産をどのように評価するか、について、相続人間で意見が対立する場合です。
相続はこのように、様々な紛争の原因が存在しています。それに加え、相続人は、親族関係であるが故に感情的になるのがむしろ普通です。相続や遺言に関しては、是非とも法律の専門家「弁護士」のサポートをお受けください。普段から多くの相続案件を取り扱っている「弁護士法人はるか」だからこそ、相続という皆さまの非日常的な出来事に対しても専門的で効果的な対応が可能となります。
相続税の最少化
相続は、上記に加え相続税を最少にするという事を考えなければなりません。遺産分割の仕方によって、相続税額は大きく変わります。また、相続税については減免制度や支払い猶予制度がありますので、これらの制度を最も有効に活用し、かつ、遺産分割に関する相続人間の要望とうまくマッチさせて、各相続人が満足し、かつ相続税が最少になるプランニングが必要となります。
当弁護士法人は、これらの業務に長年携わってきました。相続税については、当弁護士法人自身、十分な知見と経験を持っていますが、これに加え、下記の相続税専門の著名な税理士と提携しています。
尚、相続税については無料相談の対象外とさせて頂いておりますので、悪しからず御了承ください。相続税の御相談の費用は、個別に事前に見積らせて頂きます。
弊弁護士法人では相続に詳しい澤田会計事務所(税理士)と提携しております。澤田会計事務所のプロフィールは下記をご覧ください。
澤田会計事務所
所在地 〒321-0954栃木県宇都宮市元今泉3丁目23番18号
TEL 028-634-5646
FAX 028-634-5648
相続における注意点
相続については、家族内でよく相談し合い、十分な準備と注意が必要です。注意点をまとめておりますので、詳しくはこちらのページをご覧ください。
相談時の注意点
実績がある相続の専門家(弁護士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士など)を選んで依頼する。
専門家に依頼する場合は,進行スケジュールや依頼費用などを明確に伝えてくれるところに依頼する。
専門科に相談しても不安なときは相続の専門家のアドバイスを必ず取る。
相続財産の内容や状況は、正直に全部を話して隠さないようにする。
今までに会ったこともない相続人と相続の手続きを進めるのは困難であるので、専門家に任せる方がよい。
遺産の確認
被相続人の全遺産を調査して確認する。
遺産には,不動産(土地,建物),動産(自動車,金塊,宝石,書画,絵画,刀剣等),株式,預貯金,現金などさまざまな財産含まれる。
分轄方法の確認
特別受益(遺贈や、生前の資金援助など)がある場合は、相続分の前渡し分とみて,遺産分割の計算上特別受益を相続財産に持戻して(加算して)相続分の分割を算定する。すなわち特別受益のある人は相続分が減らされる。
被相続人に対して特別の貢献(病気やケガのときに看病した、事業を無償で手伝った、老後の介護をした、借金の肩代わりをした、財産を提供したなど)があれば、相続分とは別に寄与分となる。
寄与分は共同相続人の協議によって決められる。協議が整はないときは家事調停を申立てる。
寄与分・特別受益には明確な基準はないため、相続人間で合意することが必要。合意できないときは家事調停を申立てる。
そのほか
相続税に詳しい弁護士や税理士に相談して納税や節税の対策をする。
配偶者が亡くなった後も自宅に住み続けられる「配偶者居住権」は、譲渡できず、取得したら、速やかに登記手続きを行う必要がある。
民事信託のメリット:民事信託とは,財産を自分が,信頼できる人に財産を託して,管理・処分してもらう制度です。
例:父親が認知症になっても、子が不動産を処分・活用して節税対策などができる
例:収益は父親のものとなり、生活費に充てられるため、老後破産が避けられる。
遺産の評価は、遺産分割があった時の時価で評価する。
土地のうち市街地にある宅地は「路線価方式」(道路ごとに定められた1㎡あたりの路線価をもとに宅地の評価額を出す評価方法)、それ以外の土地については「倍率方式」(土地の固定資産税評価額に、国税局長が一定の地域ごとに定める倍率を乗じた額によって評価される評価方法)で評価する。
遺産分割と相続税
遺産をどのように分割するかは、相続税の額に影響します。相続人によって相続税を算定する場合に控除される金額が異なり、また何を相続するかによっても相続税の額に差が出ます。遺産分割をするには、相続税がどうなるかを考慮して決めるのが得策です。当事務所は、相続税の専門的知見を有する著名な澤田会計事務所(税理士)と連携して的確な助言、提案をさせて頂きます。
相続債務が多そうな場合
被相続人の債務が相続財産より多い可能性がある場合、次の選択肢があります。
明らかに債務の方が大きい場合、相続すると債務を負担しなければならず、損をすることになりますので、相続の放棄が考えられます。相続の放棄は、相続があったことを知ってから3か月という期間の限定がありますが、申請により延長も可能です。その期間内に債務が明らかに大きいかどうかを調べ、放棄するかどうか決めます。
債務の方が相続財産より大きいかどうかがはっきりしない場合は、限定承認と言う手続き、すなわち、プラスの資産の範囲内でマイナスの債務を承継するという手続きがあります。
これらを適切に、かつ、タイムリーに選択して手続きを進める必要があります。
弁護士にご依頼するメリット(相続問題)
相続問題では被相続人の出生から死亡まで全部をカバーする戸籍謄本の取得、相続財産の価値の評価など専門的で細かな手続きが必要になり、ご自身でその情報を全て収集して完結させるのには大きな労力が伴います。人生の中で何度も行なうべき内容ではないため、法律の専門家に一任していただくことをお勧めします。弁護士にご依頼いただければ、次のようなメリットが想定されます。
煩雑な手続きを含めたお任せ
遺産相続に際しては、一般的に次のような疑問を生じがちです。
- 故人の財産の有無や相続人となる親族の対象がわからない
- 遺言書を発見したけれど、それをどうしたら良いのか、誰に知らせるべきなのかわからない
- 遺産を受け取れる権利があるはずなのに、請求の仕方がわからない
- 相続する土地をどう分割したら良いのかわからない
- 故人が作っていた借金にどう対処すべきなのかわからない
上記のような疑問点は、相続法制に通じている専門家の助言がないとなかなか適切に判断できないのが通常です。弁護士にご依頼いただければ、このような内容について必要な処理をご案内できたり、弁護士が具体的な手続きを進めることが可能となります。
法的に間違いなく有効な遺言書を適切に作成可能
遺産を残す側の立場で考えた時、遺産分割に対して特別な希望があるケースでは、「遺言書」にそれを記し、本人の意思を明確に残しておく必要があります。
- 法的に設定されている割合とは異なった形での相続を希望している
- 法定相続人以外の人物へ遺産を残したいと考えている
- 遺産を渡したくない法定相続人がいる
- 揉めないような相続を希望している
このような思いをうまく取り入れた遺言書を作成するのは容易なことではありません。仮に本人が一方的に渡さないことを希望していても、兄弟姉妹以外の法定相続人には最低限相続できる「遺留分」などが法的に設定されています。法律に即した適切な書き方もあるため、その知識を持たない方がただ闇雲にご自身の希望を書いても無効となってしまうこともあります。ご本人の希望を最大限取り入れたバランスの良い公的に有効な遺言書を作成するには、やはり専門家である弁護士にご相談いただくのが後のトラブルを生まないことに繋がっていきます。
遺産内容の把握や相続人の調査もお任せ
遺産相続の手続きを行なうためには、故人が残した相続財産を正確に把握するとともに、相続人の範囲についても正しく理解しておく必要があります。遺産については、親族の把握していない金融機関に財産がある可能性もあり、相続人についても全てその所在が明らかになっているとは限りません。このような調査や把握においては、場合により役所や金融機関での書類作成なども必要になってきます。弁護士に一任いただければ、このような煩雑な作業もお任せいただけます。
相続を放棄すべきかどうかの判断を仰ぐことも可能
仮に借金が残されていた場合、プラスの財産とのバランスの中で相続を放棄すべきかどうかを見極めなければなりません。相続放棄を選んだ場合には、プラスの財産も含めた放棄となり、相続することを選んだ場合、借金は法定相続分に従って分割され、プラスの財産は分割協議に従った内容で相続されます。相続放棄にも期限があるため、お早めに弁護士にご相談いただき適切なアドバイスをお受けください。
遺産分割の条件面を希望内容に最大限近づけることが可能
遺産の分割内容について話し合うことを「遺産分割協議」と呼びますが、この遺産分割協議では各相続人の希望や思いが衝突してしまいがちです。それぞれが自分の希望を言い合っているだけでは、まとまるものもまとまりません。弁護士にご依頼いただければ、依頼者のご希望に最大限近づけるための効果的なご提案や交渉を、綿密な戦略のもとに実施させていただきます。
親族同士の不和を生じさせない距離感の維持
相続人同士での話し合いでは、お互いが譲れないような状況に陥ってしまうことも少なくなく、ここから取り返しのつかない親族間不和が生じてしまうこともあります。相続は非常にデリケートなものですので、第三者立場で接触できる法の専門家「弁護士」にご依頼いただき、当初からこのようなリスクを見据えた対応をご検討ください。いがみ合わずに済む距離感を維持しながら、代理人として効果的な交渉を行えます。
受け取れるはずの遺産の請求手続きをスムーズに実施可能
兄弟姉妹以外の法定相続人には、「遺留分」と呼ばれる最低限相続できる遺産の取り分が定められています。これは遺言書の内容がどのようなものであっても、法的に保障されている相続分になりますので、侵害されているケースでは「遺留分侵害額請求」を行なうことで、これを取り戻せる可能性があります。裁判での争いになることが多いため、弁護士に依頼していただければスムーズに事を運べます。
当事務所の「ワンストップサービス」は費用節約や時間短縮にも効果的!
弁護士法人はるかでは、各種専門家との連携を蜜にした体制が整っています。たとえば、遺産相続での相続税に関しては、税務対策で税理士の知恵を活用することが効果的なこともあります。登記を行う司法書士とも連携しています。
これらを都度別の窓口でご相談し、別途費用負担を生じてしまっては、時間的にも経済的にも非効率になってしまいます。当事務所では、ワンストップサービスが可能ですので、全てまとめてご相談いただけます。
相続手続きの流れと期日
親族の死去によって発生するのは「相続手続き」だけではありません。葬儀から法要、お香典返し、納骨、挨拶状作成など、実に多くの作業が含まれます。これらをこなしながら、適切なタイミングで相続手続きを進めていくには、全体のスケジュールを正しく捉えておく必要があります。相続手続きの期日を時系列でまとめさせていただきましたので、全体像を掴むのにお役立てください。
7日以内に実施を要するもの
- 死亡届の提出
3ヶ月以内に実施を要するもの
- 葬儀の実施
- 遺言書の確認
- 相続人の把握と調査
- 遺言書の検認(遺言書の存在や内容の周知)
- 相続財産の把握と調査
- 各種金融機関への連絡
- 生命保険金の受取り
- 遺産分割協議の開始
- 限定承認、相続放棄
4ヶ月以内に実施を要するもの
- 所得税の準確定申告
10ヶ月以内に実施を要するもの
- 遺産分割協議書の作成
- 各種相続手続きの実施
- 相続税の申告と納付手続き
1年以内に実施を要するもの
- 遺留分侵害額請求の手続き
3年以内に実施を要するもの
- 配偶者相続税軽減の手続き
遺産相続でよくお寄せいただくご相談
遺産分割時の注意点
相続人の確認
相続人を確認し、戸籍謄本等を取り付けて家系図を作成する。
被相続人である親が再婚の場合、前婚での子どもも相続人になる。
血族相続人は、被相続人の子(嫡出子,非嫡出子)や孫などの「直系卑属」、親や祖父母などの「直系尊属」、兄弟姉妹や甥姪。
子どもが死亡している場合は孫が相続人となる(民法887条2項)。
被相続人の養子も相続人となる。
胎児は,相続についてはすでに出生したものとみなされる(民法886項)。
相続人の廃除(例:子が親に暴力をふるった場合など相続権を剝奪)、相続欠格(例:相続人を殺したり、無理やり遺言を書かせる,遺言書を偽造するような場合)により法定相続人であっても相続できないケースがある。例えば長男には相続させたくないなどの相続廃除の意思表示は生前に家庭裁判所に申立てをするか遺言書でできるが、相続廃除(民法892条)は被相続人に対する虐待、若しくは重大な侮辱、相続人にその他著しい非行があったかが焦点となる。
内縁関係や事実婚のパートナーは相続人にはなれない。
分割方法の確認
特別受益(遺贈や、生前の資金援助など)がある場合は、相続分の前渡し分とみて,遺産分割の計算上特別受益を相続財産に持戻して(加算して)相続分の分割を算定する。すなわち特別受益のある人は相続分が減らされる。
被相続人に対して特別の貢献(病気やケガのときに看病した、事業を無償で手伝った、老後の介護をした、借金の肩代わりをした、財産を提供したなど)があれば、相続分とは別に寄与分となる。
寄与分は共同相続人の協議によって決められる。協議が整はないときは家事調停を申立てる。
寄与分・特別受益には明確な基準はないため、相続人間で合意することが必要。合意できないときは家事調停を申立てる。
遺言の注意点
遺言書があれば相続人全員の合意、実印がなくても手続きできる。
公正証書遺言については公証人役場で公証人が作成するため書き方に不備があって無効となる心配はない。
自筆遺言書の場合は,書き方の不備により無効となることも多いので注意が必要である。不備を防止するために弁護士に作成を依頼すると不備を防げる。
遺言書の作成時に認知症などになっている人の場合は,遺言が無効となる可能性があるので,精神科の医師の診断を受け診断書を取っておくことが必要である。
遺留分を侵害する内容の遺言については、侵害された相続員は侵害額の請求ができる。
相続放棄の注意点
相続放棄は相続があったことを知った日から3か月以内(通常1,2回程度の延長は可。但し、原則として期間内に延長申立必要)
相続放棄は,家庭裁判所に相続放棄の申述をしない限り認められない。
相続放棄をしない場合は,相続人は,被相続人のプラスの財産(不動産,銀行預金,株式など)とマイナスの財産(借金,保証債務など)を相続分に応じて全て引き継ぐことになる。
宇都宮市周辺や栃木県内や近県にお住まいで、相続問題や遺言書の作成でお困りの方へ
相続手続きには、ご覧のような様々な作業が含まれます。相続問題を上手く乗り切るためには、早い段階で全体的な見通しを立て、戦略的に手続きを進めていくことが大切です。
当事務所は、経験豊富な弁護士が多数在籍していますので、ご依頼者の代理人として適切で効果的な交渉を行わせていただきます。また、遺言書の作成をご検討中の方には、「法律に即した適切な書き方」と「バランスの取れた遺言書の作成」をサポートさせていただきます。
無料相談も実施しておりますので、ぜひお気軽に「弁護士法人はるか(栃木支部)」の「栃木宇都宮法律事務所」までご相談ください。
相続で失敗しないための7つのポイント
元家事事件担当判事 栃木宇都宮法律事務所弁護士法人はるか 弁護士 太田剛彦の執筆によるものです
相続開始前にしておくべきこと
まず遺言書が作成されているか否か調べること
誰でも親や親族が亡くなることは考えたくないのは事実ですが,現実には人は皆「不老不死でなく」必ず亡くなる日を迎えることになります。そこで,死後に,生前から遺言書が作成されていたか否かを詮索する事も少なくありません。ことに,自筆証書遺言を自宅等で保管していた場合,盗難,火災,震災,水害,崖崩れ等にあって紛失したりする危険性があり,また発見した者が自己に不利益な内容が書かれていると思った場合に破棄したり,隠匿(いんとく)したり,改ざんしたりしてしまう危険性がないとはいえません。
遺言書の種類
(1) 公証証書遺言書
公証役場で作製された公正証書遺言は公証役場に保管・登録されており,紛失・改ざん等の危険は全くなく,作成された公証役場以外全国すべての公証役場でオンラインで内容を確認できますので最寄りの公証役場で調査をなさってください。
(2) 自筆証書遺言書
前記のとおり公正証書遺言と違って紛失,改ざん等の危険性が高い自筆証書遺言について,令和2年7月から法務局で保管する遺言書保管制度の運用が開始されました。
(3) 遺言書保管制度
新制度でお分かりになりにくいところがあると思われますので,この制度について解説しておきます。
ア)自筆証書遺言書についての問合せ先
自筆証書遺言の保管制度は,全国8か所の高等裁判所所在地にある法務局,地方裁判所及びその支部の所在地にある地方法務局,地方法務局支局で取り扱っていますが,自筆証書遺言保管制度を取り扱っている法務局とその支局については各法務局にお尋ね下さい。
東京法務局については03-5213-1441にお問合せ下さい。
自筆証書遺言者の住所,本籍地,遺産の不動産の所在地が自筆証書遺言保管の法務局,地方法務局,地方法務局支局管轄地となり,複数の不動産が何か所か散在している場合,複数の法務局,地方法務局,地方法務局支局が管轄となります。
イ)自筆証書遺言保管制度について
イ-1 手数料
この自筆証書遺言保管制度を利用するには一定の利用手数料を支払う必要があります。
イ-2 家庭裁判所の検認について
自筆証書遺言について,法務局における遺言書保管制度を利用した場合,前記自筆証書遺言書の紛失やこれを発見した者による破棄,隠匿,改ざん等の危険を防止することができ,家庭裁判所における検認制度も不要になりました。
イ-3 パソコンは使用できる?
もっとも,自筆証書遺言保管制度を利用する場合でも「自筆証書遺言」である以上遺言者が財産目録以外の全文を自署押印しなければならず,パソコン打ちでは出来ません。
平成31年1月13日以降に作製された自筆証書遺言では物件目録はパソコン打ちが可能で,物件目録として預金通帳のコピー,いわゆる不動産登記簿謄本のコピーを添付することが可能になりましたが,その場合も添付したものの各葉に遺言者本人が署名押印し各葉には割印をする必要があります。
イ-4 書式は?
しかも,遺言書保管制度を利用するためには,通常の自由な様式の自筆証書遺言でなく,法務省で定められている様式に従って作成した自筆証書遺言でなければならならず,また遺言書は封筒に入れて封印した状態でなく無封のものでなければなりません。
イ-5 制度の利用について
遺言書保管制度を利用する場合に法務局や地方法務局,同支局では自筆証書遺言について遺言内容に関する質問や相談に応じてくれませんので自筆証書遺言の内容については遺言者の自己責任ということになりま
イ-6 遺言書の変更について
自筆証書遺言を変更したときは,新たに訂正・変更した内容の自筆証書遺言を作成し,すでに保管してもらっている法務局,地方法務局等に出かけて前のものに代え新たな自筆証書遺言を保管してもらうことになります。
イ-7 自筆証書遺言の申請について
また,遺言書保管制度は自筆証書遺言の保管申請時に代理人でなく遺言者本人が法務局や地方法務局,地方法務局支局に出向かなければならず,法務局等に出向くことが出来ない遺言者はこのような制度は利用することが出来ません。
自筆証書遺言書保管制度では法務局で保管された自筆証書遺言について手元に自筆証書遺言書が残りませんので,遺言者が死亡した後に,相続人等が遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本一式を添付して「遺言書証明書」(遺言書を画像表示したもの)の交付を申請し,その証明書を添付して遺言執行を行うことになります。
このように,自筆証書遺言の保管制度はあまり使い勝手のいいものとは言えませんので多少費用がかかっても公正証書遺言を作成するのが得策と思われます。